プレスリリース:2018年12月8日

業界を牽引しているボッシュのカンファレンスの発表についての特集「自動運転時代を前に変わりゆく業界の“今”」の最終回は、BOSCH CDR カンファレンスにて登壇したマネージャー里氏の発表内容をそのまま配信いたします。

司会 続きまして、ボッシュ株式会社オートモーティブアフターマーケット事業部テクニカルサポート部マネージャー、里廉太郎氏よりプレゼンをさせていただきます。よろしくお願いいたします。

里氏 皆さん、こんにちは。オートモーティブアフターマーケット事業部の里廉太郎と申します。本日はよろしくお願いいたします。私の方から、CDRの日本での活動状況というものを、簡単にご説明させていただこうと思います。

大きく5つに分けてご説明をさせていただきたいと思います。トヨタ自動車様との日米における活動、自動運転に関してドライバーが懸念していること、アナリスト認定制度について、CDRの市場状況、今後の予定、というような形になります。

AGENDA
1. トヨタ自動車との日米における活動
2. 自動運転車に対してドライバーが懸念していること(国別)
3. アナリスト認定制度について
4. CDR市場状況
5. 今後の予定

CDRを活用したEDRデータの事故解析というのは、米国で2000年から始まりまして、現在、米国の49CFR part563という法規があるということが、先ほどビルから説明があったかと思います。その法規に対応させるツールといたしまして、トヨタ自動車様をはじめ、日系5メーカーを含めた、17メーカー52ブランドに今対応させていただいております。

今年の年末には2メーカー、CDRツール対応の予定をいただいておりまして、今後19メーカーになるという予定をしております。現在、こちらは世界No.1シェアEDR読み出しツールとして、EDR読み出しの標準機という形になっております。その中で、日本向けではトヨタ様をはじめ、5メーカーの対応ですが、来年以降、複数メーカー様の追加対応を予定しております。

これら日米でのCDR活動の歴史を語るには、実はトヨタ様との密接な関係無しには語れません。こちらのスライドを見ていただければ分かりますが、トヨタ様とは2011年6月よりトヨタ様の内製ツールROTツールというものよりCDRへ移管という形で、2012年には米国全対応完了いたしまして、その後、全世界対応とさせていただきまして、トヨタ自動車及び、各国の事故調査機関に事故解析と研究開発のツールとして役立てていただいております。

そして更に、2013年にはトヨタ自動車のCSRC活動という、Collaborative Safety Research Centerというものがアメリカにございますが、そちらの活動に協力させていただきまして、トヨタ自動車様向けに、EDRの収集システムを構築いたしました。

このフラットシステムといいますのは、米国の市場において、トヨタ車の事故が起こった際に、そちらのEDRデータをボッシュのCDRを用いて読み出しを行い、そのデータをプライバシー部分を削除したレポートに切り替えて、それをボッシュのクラウドの方へ送信を行い、そしてボッシュのサーバー内で管理を行い、そのデータをCSRCのデータベースに転送するという、データーコネクションシステムになります。

そちらも実は、2013年にすでに構築をさせていただきまして、米国市場にてトヨタ様のフィールドエンジニアの方々が、2年間で約200件のレポートを収集され、衝突軽減ブレーキ、エマージェンシーアラームのタイミングなどの最適化等に活用され、EDRデータとそのデータベース構築の有効性がこちらで証明されたと私共は考えております。

またボッシュでは、ステークホルダー様とともに、日本での自動運転社会の実現に向けてCDRを用いたEDRデータ解析も積極的に進めております。JDパワー調べの完全な自動運転車の最大の懸念は何かという質問に対しての回答の選択比率というものを載せさせていただいております。

諸外国と比較をして、日本の中で突出している部分というのは、事故の際の法的な責任というものに対して、36%の方が心配に思っている、不安に思っているというレポートが出ております。これは大きな隔たりがございまして、アメリカ、ドイツ、中国と比較して、かなり高い数値になっております。

そして、二番に来るのが技術的不良です。やはり市場のドライバーの方々、一般の市民の方々というのは、まだ自動運転に対しては懐疑的であると。31%の方が技術的な不良が発生するのではないかという風に見ていると受け取れます。

これは自動車のブラックボックス化を心配する声が高いということが浮き彫りになっていると我々は考えております。ここを見ていただく通り、このブラックボックス化、ここの不透明なあたり、これらの部分をEDRを使用して、公平・透明性の高い事故調査の実現、あとそれらの市場の情報の活用による研究開発を経て、こちらの赤い部分の心配事というものを解決していくことが、これからの自動運転社会を作り上げるために必要であると確信しております。

下に少し書いてありますが、EDRデータを活用した事故調査を行うことは、何が起こったかを明確にできる有効な手段です。これは、なぜ起こったかではなくて、まず何が起こったか、と明確に切り替えていかなければなりません。

具体的に言いますと、ドライバーが操作を誤ったのか、それとも車側のシステム上で何かしらの不具合が生じて事故を起こしてしまったのか、というものがEDRのデータを使うことによって明確にできる、ひとつの手段であるということでございます。

ただ、EDRの記録をしているだけでは十分ではありません。こちらの部分になりますが、自動運転社会の実現に向けて、市民の理解を得るには、こちらの事故の際の法的な責任という明確に公平・透明性の高い事故調査がされているというものが、内外に認知いただかなければ先に進めないものだと考えております。そして、それらのデータを取得することによって、EDRデータは車の更なる安全性を向上するための重要なデータになると考えております。

簡単に説明をさせていただきますと、私共は、アナリストという認定制度を設けさせていただいております。アナリストの前提条件といたしまして、運動量アプリケーションデルタV及びPDOFの基本的な理解、事故解析または再現の経験、車両システム及び診断知識、そしてエンジニアリング英語力という、EDRのデータを使用して事故解析を行うためには、これら4つの複雑な能力が必要になってまいります。

これらの能力を持つ人間が、EDRのデータを使用して事故解析を行って、初めて透明性のある事故調査が実現できると考えておりまして、それが分かるようにCDRアナリスト制度というものを日本で立ち上げさせていただきました。

この制度に関しまして、日本での活動に早くから賛同いただいておりますトヨタ自動車様、科学技術警察研究所交通部の協力により、アメリカのEDR解析データサークルの左のサークルを参考に、日本でも同じような形の解析サークルを立ち上げさせていただいております。

そして、トヨタ自動車様、科警研様に協力いただきながら、日本版トレーニングの監修させていただきまして、日本でのCDR認定トレーニングというものを実施させていただいております。これの立ち上げが、去年の10月より行わせていただきましたが、現在、大手損保会社様4社、共済、警察組織、研究機関等が参加。共通の運用ルールをもとに積極的なEDR事故解析と研究に活用いただいております。

特に、あいおいニッセイ協和損保損害調査株式会社様では15名のアナリストを配備いただいておりまして、2018年9月までに約200件のEDRデータが収集され、調査時間の短縮、調査の制度の向上に役立てられており、様々な事故種類でEDRのデータの有効性を確認されております。

本日、同日に開催されましたCDRステークホルダーカンファレンスでは、それら含めた12団体、16の企業様にご参加いただきまして、今後のCDRを用いたEDRデータ解析について発表および意見交換を行う会となりました。国土交通省様をはじめとした、90名に至る参加者により、建設的な提案発表をいただき、日本での活動が進んでいることが明確となりました。

ボッシュは自動車のシステムサプライヤーの責務として、これらステークホルダーの方々と共に、CDRを用いたEDR事故解析のEDRデータの活用を進め、自動運転社会の実現のための環境整備を進めてまいります。

以上、私からのプレゼンテーションを終了させていただきます。 ご清聴ありがとうございました。

 

 

オートアライアンス/メディアラボからの質問としては以下の二つの質問を行いボッシュ様よりご回答いただいた。

質問1:EDRのデータはドライバーの所有ということだが、カーメーカーが自動運転などの技術の促進のために活用したりすることができるのか。

回答:私共ボッシュから、カーメーカー様の大弁として何かコメントすることは差し控えさせていただきたいところですが、先ほどの環境整備というところから申し上げますと、スライドで説明させていただいた通り、EDRの透明性のある運用ということになりますと、一つ目が透明性のある事故調査、そして二つ目が研究開発にそのデータを活用するという目的がございます。
今ご質問いただいた部分で言いますと、例えば、アメリカでは、事故の解析で損害の支払いの分担を考えるというものではなくて、今後の車のシステムの最適化のために、市場のデータを活用するというスキームになります。
なので、実際、カーメーカー様を中心に、私共ボッシュもケースによりサポートをさせていただいて、実際に車の開発の最適化に活用いただいています。

質問2:日本で使用する際に、英語にて出力されるということがネックになると思われるが、今後日本語化されるという動きはあるのか、もしくは翻訳に当たって、何かサポートのようなものが提供される予定があるのか。

回答:英語のレポートであるということですが、EDRのデータというのは、法的、裁判で証拠として使用するのに耐えられる内容として作成しております。
ということで、実は、法的な用語であったり、データリミテーションという制限用語なども様々含まれておりますが、そこの部分というのは、基本的にアメリカで運用されておりまして、かつ車のエンジニアリング用語を兼ねておりますので、日本語に変換いたしますと、誤訳という恐れがあるのと、解釈が誤る可能性があるということで、英語をオリジナルとして活用しておりまして、参考の翻訳として、ボッシュの方でレポートの日本語翻訳というサービスの準備を進めております。

「自動運転時代を前に変わりゆく業界の”今”」をテーマに、CDRに関連する情報を連載にて配信。

【速報】日本で初、ボッシュCDRカンファレンス2018が開催!(1)

【図解】 対応迫られる自動車整備業界(2)

【特集】トヨタも採用、EDRデータ取得の標準機とも言われるボッシュCDRツールとは?(3)