プレスリリース:2018年12月6日

 

政府が自動運転車への装着義務化を検討しているEDR(イベントデーターレコーダー)のデータ読取装置のBOSCH社のCDR(クラッシュデータ・リトリーバル)。そのCDRの国内の第一人者とも言われるCDRジャパン株式会社ブリッジ 代表 藤田隆之氏とCDRのアジアパシフィックの責任者をされているボッシュ株式会社 セクション・マネージャー 里 廉太郎 氏をお迎えし、今話題の先進運転支援システム搭載車に関するエーダスビジネス最前線について大いに語っていただきました。

<スピーカー>
・ボッシュ株式会社 オートモーティブ事業部 テクニカルサービス&サポート部
セクション・マネージャー 里 廉太郎 様
・CDRジャパン 株式会社ブリッジ 代表取締役 藤田 隆之 様
・株式会社MGH 池田貴徳 様

<会場>
グランメッセ熊本(くまもとツールショー2018

藤田氏 くまもとツールショー2018、EDR/CDRセミナーを開始したいと思います。皆様よろしくお願いいたします。

私、CDRジャパン株式会社ブリッジの藤田と申します。ボッシュ認定のCDRトレーナー業務を行うと共に、皆様のCDRのレポートの解析業務も行っています。

本日は、ボッシュ株式会社よりオートモーティブアフターマーケット事業部テクニカルサービス&サポート部マネージャーの里廉太郎氏とボッシュ認定CDRトレーナーの池田貴徳氏(株式会社MGH)の三人で、皆様にCDR/EDRのことをお伝えしていきたいと思っております。

このCDR/EDRがどういうツールなのかということですけれども、私はCDRのトレーナーをやっている傍ら、ボッシュカーサービスもやっておりまして、整備事業の視点から見た新しいサービス、これからここ5年ぐらいでどう変わっていくのかということも含めて皆様にお伝えをしていきます。

皆様ご存じのように、2024年からのOBD車検ということで、これまでと若干変わった車検の進め方、それに加えCDRとかADAS、エーミングとかですね、様々な自動車整備事業に関わる整備の仕方、仕事の在り方そのものがこれから変わっていく。その入り口としてCDR/EDRというものがあるのですが、このあたりを詳しくお伝えが出来ればなと思います。

ここで、CDRの日本のマスタートレーナーと言われているボッシュの里廉太郎より、これからの流れを説明をしてもらいたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

里氏 藤田さん、ありがとうございます。ボッシュから参りました里廉太郎と申します。私、ボッシュ日本法人でアフターマーケット事業部のテクニカルサービスサポートのマネージャーをさせていただいておりまして、CDRのアジアパシフィックサウス、シンガポールからアジア全般のCDRのプロジェクトリーダーもさせていただいております。

私の方から、ボッシュから見た今後の自動車整備業界の流れというお話と、先ほど藤田さんから説明いただいた「CDR/EDRって何?」というあたりまで、ちょっと話をさせていただきたいと思います。

まず、ボッシュという会社をご存知ではない方はおられないとは思うのですが、私共まだまだ努力が足りなく、どういう会社かというのは結構知られていないというところがございますので、ちょっと簡単に説明をさせていただきます。

ボッシュという会社はドイツにございまして、全世界に開発拠点が129拠点、実際の子会社・関連会社合わせたら440社、売上高は10兆円ほどございます。

部品業界の中の部品のシステムサプライヤーの世界一番の会社にならせていただいております。ですので全世界で40万人の社員がおりまして、10兆円の売り上げでもって、自動車関連の色々なシステムを開発しているというのが全世界の話です。

日本に関しましては、実は1911年、第一次世界大戦の前に上陸しておりまして、実はディーゼルの噴射ポンプとかの部分の特許を持っていたりしていまして、日本には日本政府とドイツ政府との協定の中で2011年に日本に上陸させていただいております。

今、日本で2670億円ほどの売り上げがございまして、社員は約6600人、という会社でして、メインでは、安全性、快適性、経済性という分野に分かれたモビリティソリューションズという車のシステムの開発をしております。

アクティブセーフティで言いますとADSだったりBSPだったり、ステアリング、パッシブセーフティというところでエアバックECU、加速度センサーとか、ワイパー、最近はやりのADAS、ドライバー・アシスタンス・システムですね。カメラ、ミリ波レーダー、超音波センサー、ブレーキシステム、ドライバーインフォメーションといいましてナビゲーションの内側、そういった色んなものを作っております。

そして、車で言いますとエンジンシステム。ディーゼルだったり、ガソリンだったり、ハイブリッドだったり、色々とやらさせていただいております。あとデノックスとか、という形をやらせていただいてております。

実は、その中に私がいるアフターマーケットという事業部、車の販売がされてからメンテナンスの部分を見させていただいております。ボッシュカーサービスというネットワークもございまして、今日のお二人のトレーナーの方はボッシューカーサービスのメンバーでもございます。

という形で、これからですね、ボッシュが本社の方でリサーチして、今後こうなるであろうということをちょっと説明させていただきたいと思います。

車のネットワーク化がもたらす効果についてということで、これから色々と言われてると思いますコネクティッド。自動運転だ電動化だとか、色々なこと言われてると思いますが、その中でコネクティッド、車のネットワーク化が起こることによってどうなるんだろうかという未来予測になります。

スイスのコンサルティング会社と一緒にやった、2015年にどうなっているんだろうという予測になります。まず、既存アシスタンスと安全支援システムをデータベースとして活動を予測しています。

というところでESC、スタビリティコントロールは調査対象の三か国、中国・ドイツ・アメリカの三か国において、2025年までに普及率が登録車両ベースで最高90%に達成しますと。(センサーベースの)自動緊急ブレーキとレーンアシストの装備率は、最高で40%までなると。ネットワーク化がどんどん進んで、2025年に車載インフォテインメントシステムのほぼ100%の割合で、ネットワーク化というのが統合されていくという風に考えております。

これは中国入ってますので、日本で言いますと、多分これよりも比率が高い状態になっていくと考えています。ではコネクティッドとなったらいいこととして何が起こるのかといいますと、まず死傷事故。死傷事故に関しては、年間26万件が減少するのではないかと言われております。アメリカで21万件、中国で2万件、ドイツ3万件、その分減少していくんじゃないかと考えております。

この件数というのは、ドイツの首都ベルリンで発生する事故のほぼ2倍に相当しますと言う部分です。どんどん事故が減っていくんじゃないかと。

逆に言うとそれがモチベーションでもあります。安全にしていくということを考えていますので。人命救助効果は約1.1万人、交通死亡負傷者の減少効果は約36万人だと考えております。

ここから多分、皆様のところに直接関係してくる部分だと思いますが、ネットワーク化されたアシスタントシステムによる資材損傷コスト削減率。これは事故修理の直接的な影響のことです。

事故修理がどれだけ減るかというので言いますと、最高43億ユーロ(約5540億円)減少するだろうと言われております。実はそれは2016年に中国政府が首都北京の大気汚染のために使った資金のほぼ倍です。

こういった目的というのは、何か社会の役に立つために技術開発をしますので、安全にするためにコネクティッドをしていたりとか、自動運転をしてたりとかします。引いて考えていくと、整備業界においてはそれだけ損失のお金が少なくなるということで、もしかしたら業務が少なくなる可能性がある。

実際、経費節減効果は保険会社の保険金支払い額の大幅な減少、ひいては車両所有者の自動車保険料の負担引き下げにつながる見込みですと。実際どれだけ損失を防げるかというと、アメリカで36億ユーロ(約4640億円)、中国が3.8億ユーロ(約490億円)、ドイツが4.5億ユーロ(約580億円)。

また、スマートフォンのインテグレーション(よそ見して事故したりする人)が結構いますので、そういったところで、6.1億ユーロ(約790億円)以上のコストダウン効果が見込めると試算しています。

アフターマーケットの私からしますと、とても怖い数字です。その分の仕事がなくなるんじゃないかという風に考えてしまいますが、実際そうなのでしょうか。実際これがモチベーションとなってどんどん安全になっていくと思うのですが、これから、そのあたりの話をしていきたいと思います。

既存の事故修理は減っていくと思います。それはもうそういう流れですので、そこは変わりようがないと思います。ここからお話しするCDR、事故記録データ解析世界ナンバーワンツール。ちょっと自分たちで調査した結果を言っていますが、このCDRとはそもそも何なのか、という話を簡単にさせていただきます。

まず、EDRという聞きなれないことから話を進めていきますが、飛行機が事故を起こして事故解析をする場合は何をするでしょうか。よく皆様、ブラックボックスっていう言葉をテレビとかで聞いたりすると思います。

飛行機が不幸にも墜落してしまいました、そうするとやることというのは飛行機の損傷を測定するためにバラバラになった部品を集めます。そして、事故現場検証ということで落ちた場所の調査をします。

飛行機の損傷の部品を集めて現場検証するだけで、何が起こったかとか分からないですよね。ですので、ほとんど、ブラックボックス、コックピットボイスレコーダーと言われるパイロットと管制塔との言葉のやり取り、どういうことが起こっていたのかという音声の記録と、アクシデントデータレコーダー、別名フライトデータレコーダーと言われる飛行機の操縦・運行記録を回収するということが行われると、よく言われています。

自動車の事故解析の場合どうなのかと言いますと、まず自動車の損傷を測定します。車ぶつかって事故した車が、皆様の鈑金工場・整備工場に入ってくる。そうすると保険会社の方が来て、写真を撮ったり事故の場所を確認したりすると思います。飛行機と同じで損傷を測定します。

そして、主に警察官の方、後で調査の方が行く場合もありますが、現場検証しますね。この交差点で信号どうだった、どういう交差点でと、絵を描いたりされると思います。これは事故の現場検証。そこからドライバーの証言を収集しますね、基本的に警察の方が。

そこから、保険会社の方がどういった事故でしたかという話をされると思います。そこで基本的に事故の調査は終了。じゃあ、事故時の運転記録ってどうなってましたっけと。

人というのは「すぐ忘れることができる」、もう一つは「勘違いをする」という二つの大きな特徴がございまして、事故が起きた時は大体気が動転するのか勘違いをして、例えば「私はブレーキを踏んでいた」「相手が勝手に突っ込んできた」とか、色んな事が言われます。

飛行機の場合は、ボイスレコーダーで撮っているので何を言ったかの記憶されてるんですが、車のプライバシーの観点からそういったものはしてませんので、ドライバーの証言だけ聞いていると「誰が悪かったのかな?」という話になると思います。

じゃあ、どうやって判断するのかというと、実は車にもイベントデータレコーダーという記録装置が積んでありまして、そのデータを読むことができます。このイベントデータレコーダーというものがEDR(事故の記録データ)で、車側に搭載してるものになります。

このイベントデータレコーダーとはどんなものかと言いますと、事故発生時の車両の状態を記録する装置です。ですので、何時何分、どこどこのコンビニに行ってとか、助手席にどういう感じの人が乗ってといたということは記憶してません。基本的に、事故に関わる直前のデータを記録してるものです。

クラッシュのトリガーと言われる、ある一定の加速度を検知し遡って5秒前から、事故してから事故の収束する間、大体前方側突で200~300ミリ秒ぐらい。横転で長ければ、200ミリ秒ぐらいという形のデータを記録いたします。

これで何が分かるかといいますと、プリクラッシュデータ(事故より前の情報)で事故発生時までの状態、ドライバーがどういう操作をしてたのか、ブレーキを踏んでたのか、アクセルを踏んでいたのか、ハンドルをどっちに切っていたのかとか、そういった情報が分かる。あと、ポストクラッシュデータ、事故の衝撃を検知してから、どれだけの大きさの事故で、いつエアバックが展開して、いつ止まったか、というのが分かるようになっています。

事故の大きさ、入力角度、エアバックの展開時間等が分かるというものになり、そのEDRデータを読み出すツールが、こちらのCDR、クラッシュデータリトリーバルというデータの読み出しをするツールになります。

これは、基本的にスキャンツールとほぼ同じ形です。スキャンツールみたいにデータを読み出して、最後だけ違うのがスキャンツールはレポートは出さないのですが、これは勝手にレポートを作って出してくれます。このレポートを元に、事故の原因調査をするというのがCDRです。

アメリカでは実は、1999年頃から始めておりまして、GMさんとボッシュとCDRの開発をスタートしています。アメリカでは2012年に法規化がされておりまして、ボッシュのCDRがアメリカで17メーカー対応しております。今年の末に2メーカーが追加対応の予定をしておりまして、市場のほぼ9割がボッシュのCDRで読み出せるようになっております。

これは、アメリカで法規があるので、17メーカーひいては19メーカーになるというとこなんですが、日本で言いますと法規が出来ていませんので日本で対応してるメーカーさんはGMさん、フォードさん、クライスラーさん、トヨタさん、ボルボさん、アウディさん、フィアットさんの車が読むことができます。

これが今、法規化に向けて進んでいくと私共は考えておりまして、早ければ2020年頃にアメリカと同じようなEDRの読み出しの法規が入るんじゃないかと。そうすると、同じくらいのメーカーがカバーになるんじゃないかと見込んでおります。

藤田氏 里さんありがとうございました。という訳で、このCDR、基本はインターフェースということで、皆さんが普段お使いになられているような診断機で故障診断するように車両に接続すると、エアバックECUの中に書き込まれている十六進データを抽出して、レポートを出すというツールになります。

我々も、皆さんのようなこっちの(整備士としての)立場としてお話をさせていただければと思っているのですけれど、私もこの世界に入りまして、27~28年ずっと自動車整備で生活をさせていただいております。ちょっと20年前を振り返っていただくと、今のように携帯電話とかスマートフォンとかパソコンとかインターネットとか、まだまだ今ほど普及していなかった。

本当、昨日のような出来事なんですけども、そこから3年経ち5年経ち、時間の経過とともに色んなものの出現で、皆さんの生活が変わってきたんじゃないかなというふうに思います。

今現在もそうなんですけれども、何か新しいこと、新しい物、新しい言葉とか聞いた時に、まず初めにグーグルなどネットで調べてみるとか、買い物をするときに値段を調べてみるとか、パソコン使ったりとか、ネット環境とかにシフトされてきているんじゃないかと思います。

我々の生活も実は、バッファリング(一時的に情報を記憶する装置や記憶領域のこと)されてまして、コンビニに行ってもそう、駅に行ってもそう、何時何分に通過したかとか、そういうことも、実はバッファリングされていて、ずっと記録を取られているというのが現在の流れなんじゃないかなと思います。

それで、このCDRを運用されるにあたって、里さんが先ほど言われました通り、2020年あたりから法規化されるんじゃないかなと、色んな話があっちこっちで出ております。おそらくこのあたりも、自動運転化に伴う読み出し記録装置ということで、日本もアメリカのようにEDRを搭載する車が今後出てくるんじゃないかなと思っております。

その中で、我々が自動車整備業として、どういう風に変化していく時代についていけばいいのかということだと思います。20年前を考えたときに、ツールを買えば、この工具があれば、この設備があれば、こういう仕事が入ってくるという形で進めてきた業界じゃないかと思います。

昔はツールを手に入れれば仕事ができたんですけれども、これからはトレーニングとかを受け、知識とツールと双方を合わせてビジネスをやっていく必要が、今後出てくるのではないかと思います。

今日は時間もございますので、我々自動車整備をやっている人達と、メーカーさんと、どういう風に時代が変わっていくのかというようなことを、座談会形式でキャッチボールしながら進めていきたいと思います。

その中で、これはどういう仕組みでどうなっているのかとか、そういうこともCDRの資料を用意しておりますので、残りの時間で進めていこうかと考えております。

池田氏 私も日頃、整備工場で整備をしているんですけども、やはり皆さん一番気になるのは、このEDRという機械が出てきて、整備業としては、これで仕事が生まれるのかということと。

これが出てくることによって、例えば日頃の板金とか、今言われてますエーミングとかに影響が出てくるのかということが知りたいんじゃないのかなと思うんです。例えば、今このEDRを使ってどのようなことが既になされているのかっていうのちょっとお聞きしたいなと思います。

里氏 いい質問ありがとうございます。皆様の興味のある部分だと思うんです。今トレーナーを一緒にやらせてもらってるんですけども、実は今、保険会社さん、科警研さんだったり警察庁、県警さん、あと研究機関、自動車メーカーさん、このCDRを使ってEDRのデータの事故解析をされております。

実は、もう長いことやられているところでは10年以上されている団体さんもいます。去年より正式にボッシュから日本で販売を開始したので、特に保険会社さん、アジャスターの方中心に、今この機器を導入をして、どんどん事故解析をされております。

すごく大きなモチベーションというので言いますと、これを使うと何が分かるか言うと、例えば、ちょうど池田さんの会社の方の話で言いますと、自分は止まってたのに後ろから追突されたという場合。きっちり止まった、要は0キロで停止してたかどうかを証明できない限りは必ず貸しがついてしまいます。

8:2、9:1、車のユーザーさんからとったらどっちでもよくて、保険使わないといけないの?という話になってしまうと思います。ただ、このEDRの記録の何がすごいかと言いますと、0キロだったというのが技術的な根拠としてデータを見ることができます、もし本当に止まっていたら。

で、池田さんの同僚の方のケースでいきますと、これで池田さんがレポートを抽出して確認したら0.5秒前から0キロになっていたと。一秒前は4キロぐらいだったという事はやっぱり減速しつつ、ちゃんと止まったよね、という話をしたら、相手の保険会社さんは「分かりました。じゃあ10:0で。」という形で、余計な話がなくなっていく。余計な争いもなくなるって言うのは一つ大きなところです。なので効率がすごく上がる。

あと、皆様ご存知だと思うんですけど、モラル案件とか。ちょっと車を海に落としとこうかとか。とりあえずぶつけといて、ここに請求しようとかとなると、この記録というのはかなり有効な証拠になりまして、保険金の支払いをしなくていいということも結構あると聞いております。

というところで保険会社さんからすると、喉から手が出るぐらい欲しいデータであるようです。皆様の業務と何が関わってくるかと言いますと、そもそも車が事故した後に持って行くところは、整備工場か板金屋さんに必ず車を持ってきます。

ですので、必ずそこにどなたかが訪問して写真を撮ったり色々する。シンプルにこの技術というのは保険屋さんしかできないんですかと言うと、そういう技術では全くございません。

どちらかと言うと、車のシステムの知識、高度な自動車整備の技術が必要なものなので、実は保険会社さんよりも皆さんの方がまだ近いんじゃないかなということで、実はこの二人もバリバリの整理のスペシャリストで、保険のスペシャリストではございません。

ですので単純に、皆様が工場でCDRを持っていて、資格を取って読み出しが出来る人がいれば、保険会社さんに「事故起きてうちの工場に入れたら全部見てあげるよ。そのかわり作業賃はもらわないといけないけど。」とお伝えできる。

となると保険会社さんとしては、そこの工場に優先的に車を入れるとトラブルも少ない。そこで整備をした上でADASのシステムとかついてる車であれば、そこのキャリブレーションの知識と機械も持ってれば、そのままそこで作業をして、そのまま納車してあげるというのが、お客さんにとっても、保険会社さんにとってもメリットが高いんじゃないかなと思っております。

藤田氏 これまで我々の仕事というのは作業をして、車を完成して、というような仕事を主にやってきたと思うんですが、今の話というのは元々車の中に記録されたデータを抽出して、そのデータを理解する。売り先は保険会社さんであったり、弁護士さんであったり。

里氏 あとは研究機関、そして一般のユーザーさんも。もちろん、EDRの記録というのは明確なんですけど、ドライバーさんもしくは車のオーナーさんのデータです。自動車メーカーさんであったりボッシュだったりという持ち物ではないので、これは車の事故した方がこのデータを読んでいい権利があるんですね。ただ読み先がいないので誰かに依頼しないと自分で抜けないので、それを直接言われる事もあります。

「こないだなんかあったけど、全然納得いかない判断されて…」「ちなみに車どこですか?トヨタですか?ああ抜け出せますね。ちょっと見てみます。」というのが池田さんの例です。9:1だ8:2だと言われて。何乗ってんの。トヨタ車。ならちょっと見てあげようかと。

藤田氏 これからEDRの技術が色んなメディアで、一般ユーザーさんに認知されていくとですね、「私の車のデータを取ってるんでしょう。読み出ししてください。」という依頼が一般の整備工場さんとか、またアナリストの方々、そういう技術をもってらっしゃる方々に依頼が入ってくるという流れになるのではないのかなと。

事故件数イコール読み出しだけではなく、車両の損傷が過去にどの部位から、どれぐらいの実はあったのか、ということもツールの使い方次第なんですけども、活用することができる。

それはどういうことだろうと申しますと、最近ほとんどのユーザーの方がつけられていると思うんですけど、ドライブレコーダーのカメラの場合だと急ブレーキとかちょっとした段差で眠っているものがウェイクアップして記録を開始するとかいうことがあると思うんですけど、このCDRは急ブレーキとか、急発進とか、それぐらいの衝撃では記録開始をしていない。

ある一定以上の閾値(しきいち)を超えた場合に、その記録を格納しているというような仕組みになっています。過去にその車が、どの方向からどのくらいの衝撃を受けたのかとかいう記録も残っている場合があります。

それは自動車メーカーさんにもよるんですけれど、国産車ならトヨタさんの車両であれば2002年ぐらいから記録が残っているものがあります。

池田氏 それでですね、私がその会社の社員の車の記録を抜き出した時に、その衝突自体は一回だけなんですけど、実際に入ってたデータって5件あったんですよ。

その会社の人に聞くと「中古で買いました。でも大きい衝撃はその一回だけです。」となった時に、以前にそういった衝突があったんではないかと…。

里氏 エアバッグを展開したら取るものではなくて、ある一定の衝撃を検知したら取るものなので、大体フレームを修正するような事故は記録するっていう風に考えれば良いものです。

逆に言うと「この車、無事故車です」っていう形で車を販売された時に、このデータをこれで読み出しされて記録が入ってたとなったらほぼ負けると思います。記録が入らない場合っていうのは車に鍵を挿してイグニッションオンにしてなかったら入らないとか、角度が悪くて入らないとかはあるんですけど、事故がないって目視で確認をして、それで売っちゃったものに対して、ここに記録が残ってて「どうするの」って言われるとすごく大きな話になるかもしれないということです。

藤田氏 一定以上の閾値、衝撃を検知すると取っていますので、基本的にはイグニッションオンの状態の時にしか記録をしていませんので、夜駐車場に車を止めました、朝行ったらぶつけられていました、後ろがぼっこり凹んでしました。私の車にはブラックボックスEDRがあるので抜き出しをしましょう。

でも、キースイッチオフだと実は記録はされていません。車のエンジンかかってる状態であれば記録は残るんですけれども、キースイッチがオフのときは残念ながら記録が出ないというのがEDRの特徴でもあります。

里氏 質問をもらいながら行きたいんですけど、このCDRの解析って簡単だと思いますか?どう思います?お二方一緒に色々トレーニングされてて、どうですか?

池田氏 難しいですね。

里氏 かなり難しいです。実際アジャスターさんで10%から15%ぐらいの方が資格取れるんじゃないかっていうようなお声も頂いてます。結構難しいものですよね。

車のシステムの制御の内容なので、すごく難しい内容が入ってまして、実際こんな感じで、プリクラッシュのデータだったらこういったメーター、車速だったり色々とあるんですけど、そこからこういった、デルタVの加速度が出てきて、何ミリセックの時点でエアバッグ展開したとかですね、1/1000秒の単位で物事を判断してくみたいなものですので、かなりややこしいです。

実は、レポートが出てきても一般の方読めません。これ実験した例で、車を乗り上げさせて横転させたというものなんですけど、加速度のデータでいうとこんな形で取れます。

これパッと下のグラフ見て分かればもうかなりの目利きです。ですので、このCDRのデータって車の制御のデータですので、必ずトレーニングしないと分からないです。

今、五日間認定制度のトレーニングやっておりまして、私であったり、お二人の方のトレーナーがトレーニングをしています。今大体約百数十名、1年掛けてトレーニングしております。実はこれ、ツールがあれば出来るものじゃないよというところですね。

アナリストに求められるものというか、実際何を勉強するのというと、運動量アプリケーションデルタV及びPDOFの理解、運動量の法則の理解を勉強の中でやっていきます。事故解析または再現の知識を蓄えていく。

そして車両システムおよび診断知識ですね、ダイヤルの部分を学んでいく。そしてエンジニアリング英語力、車の制御は英語が元ですので、英語の意味だったりとか教えてもらいながら勉強していく。

藤田氏 残念ながらレポートというのは全て英語で出てくるんですよ。日本語で出てきません。そこもまた敷居がちょっと高いんですよね。

里氏 要はデータの解析をするために、このような能力が必要なアナリストにどうやればなれるのか。私共が思っているのは、やはりトレーニングです。トレーニングをきっちりと受けること、プラス、トレーニングだけで後は勝手にやりなさいということではなかなかできないので、メンターということでその時の先生がいかにサポートするか。

後は、一緒に受けた人たちの仲間同士の勉強会だったり、横のつながりって言うんですかね。それがあると、どんどんどんどん知識を吸収していって、今までできると思わなかったことができてくるように技術が上がってく、というようなものだと考えています。

藤田氏 なので、アナリストは10月現在で約50人くらいですかね。保険会社さんとかアジャスターさんとか、50人くらいなので、まだまだこれからです。

里氏 私共が考えてるところですと、社会全体の恩恵をモチベーションにする。さっきの未来予想図のところなんですけど、社会全体で利益があることしか基本的には盛り上がらないっていうか進んでいかないですね。

この車のコネクティッドだったり、自動運転だったり、電動化というのは、社会全体の恩恵がどんどん増えてくことが一番のモチベーションになっている。

ということで、事故が減っていくというのがモチベーションです。自動車技術の進化は構造改革に伴って加速してきます。なので、ビジネスモデル自体がどんどん変わりながら新しいステージに入っていくと考えております。

今、自動運転だコネクティッドだ、うんぬんかんぬんと今の既存の形でいく部分はあるんですけど、商売の業態だったり、藤田さんが言われたようにスマホの話とかパソコンの話とか(昔のカメラ屋さんとか)、どんどんどんどん変わってく。

ボッシュ自体もすごくそれは考えてまして、100年に一度の大きなリスクですよね。チャンスでもあるし、リスクでもある、と言うところで、すごく努力しながら色々やってます。

そういった中で、アフターマーケットを考えると自動車整備環境においても、これら進化により大きな変革が予想されます。事故の件数減っちゃうし、板金もすごく高度化になってくし、自動運転レベル2でも事故した車修理していいのかな、みたいな話になっていますし。

ADASのセンサー、キャリブレーションできてまっすぐ走るのかとか、いろんな状況になっていくと思います。業界に淘汰の波も迫ってます。

投資は必要だし、今までは物だけ買ってたら良かったけど、出来る人がいないと仕事が来ないので、トレーニングしていかないといけないです。

ということで、今の市場のリスクは事故の絶対数の減少、部品点数が減ってきます。入庫率もどんどん減ってく。売り上げは減ってくのに、自動車整備の高度化ということで、修理は高度化してます。どんどん難しくなってる。

責任範囲の拡大ということで、このツールを使って責任の明確化ができてくると、今度言われることは、自動車メーカーさんのソフトウェアに問題があったんじゃないですか、と言われた時に、多分次に聞かれるかなと思うのは「いやいや、整備した人でしょ」と言われると皆さんどう答えますか、という部分もあります。

どうやってエビデンス取って、どうやって自分たちのやってた作業をきっちりと証明できますかと。そして、それらが出来る人員をどうやって育成していきますか、という問題がありますので、私共の今回の提案の一つは「競争力の強化」ということ。今後淘汰が起こってくるので出来るところと出来ないところというのがすごく明確に分かれてくると思うんです。

その分かれた中で、競争力の高いところと低いところがどう変わってくるのかというと、やはり「技術力」が一番大きなところです。

そこに対して、今までは物に投資すればいけるという感じがありましたけど、これからはまず人を育てないといけないので、まずトレーニング、まず資格取らせて、出来る人間を入れて、そこで物がついてくるというような風になってくんじゃないかなと考えております。

では、何かご質問あるでしょうか。

質問者(A) 私は一応整備士の免許も持っておりまして、保険業もやっております。先ほど里さんがおっしゃったように0:100の事故で揉めることもあります。駐車場で自分が止まってた、ぶつかられた。それで必ず揉めます。なぜかというと、自動車保険料がすごく高くなっているので、使うと掛け金が上がりすぎて、自分の過失が一割しかなくても、掛け金が上がりすぎて当てられ損になる。

このCDRでデータを見て、先ほど出たように横転とか、そういう事故の力の入力という解析はすごく高度なトレーニングが必要になってくるかと思うんですけれど、一番の例としては「100:0」を証明できるというのが簡単だと思いました。

簡単というとちょっと語弊がありますけど、先ほどのデータを解析してからどうのこうのというトレーニングというのは、すごい高度なレベルになってくる。

例えば裁判沙汰になった事故とか、事件とかそういった時。皆さんは自動車の整備工場さんをされてて、自分のお客さんが0で止まってたというデータを、第三者から見てわかるような情報として提供できるということであれば、導入するメリットはかなりあるのではないかなと思いました。

それともうひとつ、先ほどおっしゃったように無事故車の証明にはならないとは思うんですけど、逆に言えば入力がない、要するに衝撃が入ってないというデータをつけることによって、この車は少なくとも事故は起こしてない車の可能性が高いのでどうですかっていう中古市場のプレミアム、付加価値としてつけることはできるんじゃないかと、話を聞いて思いました。

ただ、それをつけて法的に突っ込まれた時にどうなるかというのは私は法律の専門家じゃないんですけども、仮に販売店の方がオークションとかで中古車を仕入れてきた時に、本当に事故したことがあるのかないのかというのは結構気になることがあるんです。そういったときにこのデータで大きな衝撃が入ってる履歴はないので、かなりの確率で事故はしてないんじゃないかという付加価値をつけることにはいいんじゃないかなと思いました。

里氏 貴重なご意見ありがとうございます。他にご質問はありますか。

質問者(B) 法令化というのが日本で進むだろうということをボッシュさんは予告されていたと思うのですが、時期が若干ずれたとしても法令化された時に、例えば海外は分からないですけど、各メーカーさんはどういう動きをとられるのか。

販売店さんが元々持ってる機能を吸い上げることは十分できると思います。ということは出来るメーカーさんの販売店さんができる中で、一般の整備工場さんがどうやっていくのかということが気になります。

里氏 いいご質問ありがとうございます。私共ボッシュとしては、法規化は2020年あたりを見込んでおります。かなり高いモチベーションを持って法規化をされていくんじゃないかなと見込んでおります。理由はすごく単純でして、自動運転に対して今一番重要なのは、ドライバーが悪かったのか、システムが何かしらの問題を抱えてたのか、それとも整備をきっちりとしてなかったのかという問題の切り分けをしない限り保険が支払われない。要は、どこが悪いのかはっきりさせない限り先に進めないっていう状況になっています。

アンケートがありまして、これ2018年のJDパワーという調査会社が調べた日本や他の国の状況なんですが、これを見てもらうと分かる通り、この赤いところですね。完全な自動運転の車について最大の懸念は何ですかという質問の回答率です。

中で一番大きいのは事故の際、法的な責任があやふやにされるんじゃないだろうかというのが怖い。その次は、技術的な不良で勝手に事故しちゃうんじゃないかというのが怖い。

これ何かと言いますと、このCDR/EDRを用いて何が貢献できるかと考えた時、このEDRの役割というのは、「公平・透明性の高い事故調査」を実現させていくというところが重要と考えております。

要は、片方だけそのデータを活用できるような状態がないように。実は、アメリカの法律はすごく面白い法律でして、2012年に施行されたEDRの法律というのは、EDRの搭載義務を言っていません。何を言ってるかと言いますと、EDRが付いてる車は市場で誰でも入手可能な読み出しツールを供給しなさいという法規です。なのでOBDに近い法規です。今、日本も同じような形の法規化がされるんじゃないかと考えております。

これが何かというと、要は公平性と透明性ということです。この車の持ち主のデータを正しく活用できる環境を作らない限り、自動運転なんかいけないっていうのが、このアンケートで明確になってる部分だと思います。

プラスして、市場情報の活用によって研究開発が促進されますので、実際の市場で起こった事故のデータがこれで集まってくるっていうところがあるので、それがすごく大きなモチベーションで、今これの法規化がされるんじゃないかなと見込んでます。

実は、ヨーロッパ、中国も同じく法規化がここ数年の間にされるという風に見込んでおります。ちなみに韓国は、2、3年前にもう法規化されてます。GMさん、クライスラーさん、ボルボさん、アウディさん、トヨタさん、フォードさん。ビッグ3に、それら大きなグローバルメーカーは、CDRを使って全世界対応されてまして、どこであってもこれでEDRのデータの読み出しをしてます。

トヨタさんに至っては、メーカーの事故調査の方もこれを使ってやられてます。透明性がすごく大切ですので、違うツールを持ってきて、違うデータを抜くということすると、裁判になった時に圧倒的不利になります。なので皆さん同じもの使うってという風に今考えられています。

実際ほとんどの自動車メーカーさんはそれに賛同されて、ボッシュのCDRで全世界市場対応して、自分達も配備をしてる。ディーラーさんが今後それ使うのかと言うと、実はかなり難しい技術ですので、ディーラーさんがやるクレームのハンドリングのために使うツールではないので、どちらかというと、ディーラーさんが持ってやるという業種とはあまり考えていないという節がございます。自動車メーカーの調査をされてる方々であったり、本社の方々が使われています。お答えになっていたらありがたいです。

質問者(B) そうなると標準機になるとして、抜き取る環境が日本にあるとした時に、キーになるのは読み取る技術を持ってる人がどこにいるか、というのが一番重要になってくるということで、整備工場さんとしては、どこかに委託しないといけないですということですか。

里氏 そうですね。出来るところは、周りから業務を受けるという形になると思います。自前で9万ある整備工場さんが皆持つようなものではないと思います。出来るところが面倒見てあげるという感じです。

質問者(B) 出来る車の技術を持ってるところ(トレーニングを受けて読み取れる力があるところ)はその地域での特化した力を持つということですか。

里氏 その通りです。補足ありがとうございます。

池田氏 我々整備士や板金工場がやはり気になるのは、板金作業をした後に、例えばエーミングせずに出して事故が起こった時に、このEDRが存在することによって、整備業者に責任が来るのではないかというとこが不安のひとつです。

その辺りというのは、そのエーミングといいますか、衝突軽減ブレーキというのはこちらで対応するようになっていくんでしょうか、というのは気になると思います。

里氏 いい質問ありがとうございます。衝突軽減ブレーキの動作状況が分かるパラメータを入れるべきだという声は結構ありまして、入ってるメーカーさんも結構おられます。要はブレーキ踏んでたのかどうなのかが分かるかということです。

加速してたのか減速してたのかが分かって、何キロで走ったかというのが分かるので、物理的に計算していくと、ブレーキが遅かったのか、踏んでなかったのかとか分かるんですけど、そこでシステムが緊急制御に関与をしてたかどうかというのは、計算したら出せたりとかするんですけれど、その動作状況があった方がいいよね、ということで、データとしては最新の車は結構入ってきています。

なので分かると。なので怖いのは、そこで計算していくと「ん?なんでこれ気付いてないんだ」っていう話になっていく。なのでアメリカで最近、自動運転絡みの車が事故してやってるのはEDRの記録をまず最初に読むというのがほとんどです。調査していくという形です。

池田氏 ということはやはり、その鈑金をした後に、オートアライアンスさんがツールショーで展示されてたようなきちっとしたフレーム修正を使ったり、エーミングの講習もされてましたけど、エーミングもきちっとできる工場さんというのがやはり生き残っていくのかなっていう感じですか。

里氏 そう思います。

藤田氏 本日、大変短い時間で駆け足で説明をさせていただきましたが、今日読み出しツールのCDRを持ってきています。この後、展示会続いてますので、実戦で、どんなツールなのか触ってみたいと思われる方がいらっしゃいましたら、一階で展示をやっておりますので見ていただければなと思います。短い時間でしたが、ありがとうございました。

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